バレンタインデーには「愛の力」を!- カカオ農園で働く子どもたち-
2月14日のバレンタインデーまであともう少し!
バレンタインデーと聞いたとき、最初に思い浮かぶのはチョコレート。
外へ出ると街はチョコレート一色です。
実際にバレンタインデーがある2月14日は、私たち日本人が一年の中で最もチョコレートを買う日。
2月にはチョコレートの年間支出の約4分の1が集中し、その中でもバレンタインデーの前にチョコを購入する人は85%となっています。
チョコレートを大切なひとへギフトとして送る人もいれば、自分へ買う人も多いのではないでしょうか?
そんなバレンタインデーを彩るチョコレートの裏側を皆さんはご存知ですか?
現在日本では、チョコレートの原料となるカカオの約7割をコートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンといった西アフリカ国々から輸入しています。
しかし、これらのカカオ農園では児童労働の問題が深刻化しています。
”When the power of love overcomes the love of power, the world will know peace”「愛の力」が「力を愛すること」に打ち勝ったとき、世界は平和を知るだろう。
このジミ・ヘンドリックスの言葉は、児童労働がない世界へ向けてのメッセージとして捉えることもできます。
ではこの時の「愛の力」、「力を愛すること」とは何を意味するのか。
それを考えるためにまず、
- なぜチョコレートが児童労働と関係があるのか
- 私たちには何ができるのか
を考えることが重要です。
愛の日の象徴であるバレンタインデーに、愛と人権の話をしましょう!
カカオ農園問題
甘くて美味しいチョコレート。
そんなチョコレートの原料となるカカオは、主に西アフリカで輸出用として栽培されています。
しかしそのカカオに対して、チョコレート会社が農家に支払う対価はとても安く、多くのカカオ農家の収入は1日1ドル以下とも言われています。
そのため、カカオ農園ではなるべく安い労働力が必要になり、児童労働に頼ってしまっています。(児童労働について詳しく知りたい方は「世界では10人に1人の子どもが働いている」をチェックしてみてください!)
2019年時点でコートジボワールとガーナのカカオ栽培地域では約156万人の子どもたちがココア生産で児童労働に従事していました。
Mighty Earth、Be Slavery FreeなどのNGO団体は、実際にはこれよりも多い約210万人の子どもたちがカカオ農園で児童労働にさらされている可能性があると指摘しています。
210万人とは日本5大都市の一つである札幌市の人口よりも多い子どもたちがカカオ農園で働いているということになります。
それだけでなく、カカオ農園で働く子どもたちの平均年齢は12歳から16歳ですが、5歳の子どもが働いていたという報告もされています。
また、カカオ農園で働く子どものほとんどが「最悪の形態の児童労働」に晒されている可能性があります。
「最悪の形態の児童労働」とは、
💡 「人身取引、強制労働を含む子供の安全、健康、道徳を脅かす危険性と有害性の高い労働のことです。」
カカオ農園で働く子どもたちの人権は無視され、彼らは低賃金で身体的、精神的に危険な状況で働き、学校へ通うこともできていません。
例えば、「幼い子どもには危険で大きいナタやチェーンソーを使用する子」、「板一枚の上で寝泊りをしながら働く子」、「人身売買されてカカオ農園に来た子」、「理由もなく殴られる子」などがいます。
繰り返しになりますが、これらの状況に置かれているほとんどが中学生以下の子供たちです。
そんな幼い彼らの日常は、私たちが想像できないほど悲惨で過酷なものです。
加えて、カカオ農園では働く子どもたちは厳しい貧困状態にあります。
そのため彼らのほとんどは、家族を支えるため、生きるために働いています。
コートジボワールにあるカカオ農園で働く16歳のカリムは、
”私たちがここに来たのは、食べるためのお金を得るためです”
と語っています。
カリムが働くチョコレート産業は年間約1,030億ドル(1ドル=115円と換算した場合約 11.7兆円)もの売上を上げています。
しかしカリムが1日で稼ぐことのできる給料は日本円で95円ほどです。
このカリムの給料の低さは、市場が人権よりも利益を優先していることを象徴しています。
消費者が利益優先の企業の商品を選ぶ限り、企業は児童労働や人権に対して無関心であっても利益が出せてしまいます。
となると、企業は正当な労働対価を払ってまでカカオ農園の状況を変える必要性を感じません。
要するに、市場からの需要がある限り児童労働は無くならないということです。
当然多くの国々で児童労働に対する法律は制定されていますが、これらの法律すら市場からの高い需要の前では意味がなく、児童労働を減らすことができないのが現状です。
実際カリムが働いているコートジボワールにも「16歳未満の子どもに学校へ行くことを義務付け、16歳未満の子どもの労働を違法とする」法律が2015年に制定されています。
ここまで読んでくださった皆さんは、「自分たちには何もできることがない」と無力感を感じているかもしれません。
ですが逆に言うと、
①私たち消費者が商品の背景を知り
②児童労働に加担している企業の商品を選ぶのをやめ
③商品に関わる全ての人の幸せを尊重しているブランドを選ぶこと
が、児童労働のない世界をつくる道への大きな一歩だとSustainable.は信じています。
その鍵となるのは、企業のサプライチェーン(製造、在庫管理、配送、販売、消費までの一連の流れ)の透明性を高めることです。
私たち消費者が企業のサプライチェーンに対して関心を持つことは、児童労働をなくすためにとても大切です。
もしバレンタインデーにチョコレートを買う予定の人は、そのチョコがどのような経緯を経て店頭に並んだのか、ぜひ考えてみてください。
私たちの声はカカオ農園で働く子どもの未来を変える力を持っています。
私たちにできること
バレンタインデーにチョコレートを送る予定の人は、「買うことで支援する選択肢」があることをご存知でしょうか?
その一つに「フェアドレード認定されているチョコレートを購入する」ことが挙げられます。
簡単に言うとフェアトレードとは、「農家が生産物に対して適正な対価を得て、より良い労働条件を得られるような商品の売買方法」のことです。
カカオ農園での根本的な原因である「カカオ農園<チョコレート企業」の構造を公平なものにするため、フェアトレード 認定チョコレートは生産者に「適正で安定した収入」を保証しています。
例えば、フェアトレード ジャパンはフェアドレード認定チョコレートのリストを公開しています。こちらのリストなどを確認し、どのチョコレートを購入するかの参考にしてみてください。
またインターネットを活用して「買う予定のチョコレートがどのようなプロセスを経て店頭にならんでいるのか」を調べてみてください。(詳しい調べ方は「世界には10人に1人の子どもが働いている」の「私たちにできること」をご参照ください。)
このステップを踏むことで、「私には何ができるか」が浮き上がります。
あなたができることから始めてみましょう!
繰り返しになりますが、私たちの選択はカカオ農園で働く子どもの状況を変化させる力を持っています。
バレンタインデーというチョコレートと愛が溢れる日に、愛のある選択をしましょう!
バレンタインデーには「愛の力」を!
”When the power of love overcomes the love of power, the world will know peace”「愛の力」が「力を愛すること」に打ち勝ったとき、世界は平和を知るだろう。
これは最初に紹介したジミ・ヘンドリックスの言葉です。
最初と今では感じる印象が違うのではないでしょうか?
「愛の力」とは、カカオ農園で働く子どもたちの手にナタやチェーンソーではなく鉛筆や本があることを願い、そのために行動できる力です。
「力を愛すること」とは、彼らのことを見ないフリをしたり、利益を追求するために企業が子どもを利用することを許してしまうことです。
バレンタインデーには児童労働に従事する子どもたちへ、私たちの愛の力を広げましょう!