縁起が良いのは節分まで?-恵方巻から考える食品ロス-
2月3日にある日本の伝統的な行事「節分」
豆まきをしたり、恵方巻を食べる方も多いのではないでしょうか?
そんな節分の季節に最近話題になっているのが「恵方巻の食品ロス問題」です。
恵方巻のような季節限定食品の食品ロスは近年社会的問題になり注目を集めています。
節分までは縁起が良い食べ物として人気の恵方巻が、節分の翌日からどこか鬼鬼しく食品ロス問題のニュースとして取り上げられます。
そこで今回は
- 恵方巻の食品ロス問題の「なにが問題で、どうして問題なのか、取り組みは?」
- 食品ロスがどのような影響を及ぼすのか
について見ていきましょう。
食事とは、私たちが毎日行うとても身近で大切な行為です。
これは逆にいうと、少し意識するだけでも変化を起こせる可能性があるということです。
節分という機会に、恵方巻と食品ロスについて考えましょう!
恵方巻きの食品ロス問題
なぜ恵方巻の食品ロスがこんなにも注目されているのでしょうか?
それは、恵方巻が他の食品に比べ大量に廃棄されやすいからです。
これには主に2つの理由があります。
-
日持ちしない
基本的に恵方巻には生ものが使用されているため、日持ちしません。また、恵方巻は節分を過ぎると売れ行きが悪くなり、食中毒の観点から廃棄されてしまいます。 -
需要と供給のコントロールが難しい
恵方巻を予約して購入する人もいますが、当日に購入する人もいます。店舗ではこれらの当日購入する層の需要に応えようとしますが、数の調節が難しいため在庫を多く抱えてしまい、結果的に廃棄される恵方巻きが出てきます。
では実際に恵方巻はどのくらい廃棄されているのでしょうか?
恵方巻は店舗において多くの売れ残りが出ています。
- 百貨店1店舗では、閉店5分前の時点で272本以上の恵方巻の売れ残り
- コンビニエンスストアでは24店舗で264本の売れ残り
- スーパー10店舗で1,048本の売れ残りがありました。
ある報告によると売れ残った恵方巻きの金額は10億2800万円にまで上ると言われています。
さらに、これらを廃棄するコストも加えてかかるため、恵方巻きのロスには大量のお金が無駄になっています。
恵方巻の食品ロス削減対策
現在では恵方巻の食品ロス削減に向けて、国や企業がさまざまな対策を講じています。
その大きなきっかけとなったのは、2019年から農林水産省が始めた「恵方巻のロス削減プロジェクト」。
農林水産省は恵方巻の食品ロス問題に対応するため「コンビニエンスストアやスーパーなどの業界団体に対し需要に見合う販売をするよう」通知を出しました。農林水産省はこのプロジェクトに協力する企業をホームページ上で公表するなど、企業と消費者の意識や関心を高める取り組みが進められています。
2019年に実施された調査では、回答者の87%が「前年度より恵方巻の廃棄が減少した」等、多くの参加企業がプロジェクトの効果を実感したと回答しました。また「6割以上削減できた」と回答した食品小売業者は31%もいました。
しかし、同年2019年に行われた他の取材では、「食品リサイクル工場に入ってくる恵方巻と考えられる米飯の量は、2018年と変わらず通常稼働時のほぼ2倍であった」と指摘されています。
このことから、恵方巻のロス削減には進展は見られるものの、依然そこには地域差があることが分かりました。
食品ロスの問題点
食品ロスの問題は恵方巻だけではなく、私たちの日常に存在しています。
日本では1年間に約612万トンものご飯が無駄になっており、これは東京ドーム約5個分に相当します。
食品ロスには主に以下の問題点があります。
-
環境問題
処理工場に運ばれた食べ物は可燃ゴミとして処分されます。その処理工程(焼却や運搬)において二酸化炭素(CO2)が排出され、地球温暖化の要因となる温室効果ガスが発生します。また、焼却後の灰の埋め立て地が不足している問題があり、埋め立て地は河川や生態系へなど環境に悪影響を及ぼしています。つまりこれ以上ゴミが必要以上に増えてしまうと、環境にも負荷がかかってしまうということです。環境を守るためにも食品ロスを減らしましょう。 -
家計へのダメージ
一般的に食費は消費支出のうち約1/4を占めると言われています。なのでご飯を残して無駄にしてしまうことは、お財布のダメージにも繋がっています。無駄になるお金を減らすためにも、食べ切れる量の食事を意識しましょう。 -
税金
年間2兆円に及ぶ税金がごみ処理費として使われています。特に食べ物は水分量と重量が多いことから、処理するためにエネルギーとコストも大量にかかります。税金がゴミの処理ではなくもっと有効に使われるために、意識で変わるゴミの量を減らしていきましょう。
「嫌いなものも無理やり食べないといけない」ということではなく、食料資源が有効に活用されるよう「食べ切れる量の食品を供給し消費すること」が私たちには求められています。
「いただきます」と言う私たちへ
恵方巻きの食品ロス削減のため様々な取り組みが行われておるものの、食品ロスの問題にはまだまだ取り組む課題が多く残っています。
食事というのは私たちが毎日する行動です。
これは言い換えると、自分が食べ切れる量を考え、一食一食を大切に食べきるだけでも食品ロスは削減できるということです。
「いただきます」や「ごちそうさまでした」と言い食材への感謝を表現する私たちだからこそ、この国から食品ロスを無くすことができると信じています。
節分という季節の分け目に、是非これからの食事を意識しましょう!