日本のリサイクル率は25%?-プラスチック資源循環促進法で変わる新しいリサイクルの形-
皆さんは2022年の4月1日から「プラスチック資源循環促進法」が施行されることをご存知でしょうか。
「プラスチック資源循環促進法」とは「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の略。 「えらんで、減らして、リサイクル」をテーマに、プラスチック資源を今までよりも効率的に循環させることを目的としています。
プラスチック資源循環促進法が施行される引き金となったのは「プラスチックによって引き起こされる環境汚染問題」や「諸外国の廃棄物輸入規制強化等」への観点からです。
日本政府は2030年までに「ワンウェイプラスチック(一度使用されると廃棄されるプラスチック)の排出を25%削減すること」や「プラスチックが原料の容器包装の6割をリユース・リサイクルする」などをマイルストーンとして掲げています。
そしてこの目標を達成するためには、消費者、事業者、行政、自治体の相互的な協力が必要です。
この法律の基本的方針は、
- プラスチック廃棄物の排出の抑制、再資源化に資する環境配慮設計
- ワンウェイプラスチックの使用の合理化
- プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化 等
そこで今回は「えらんで、減らして、リサイクル」の「リサイクル」である3番に焦点を当て
- 「プラスチック資源循環促進法」が私たち消費者に与える影響
- 日本のリサイクルに関する問題
を見ていきましょう!
(2番にあるワンウェイプラスチックの使用の合理化については「ファストフード店には脱プラへの”ファスト”な対応が求められている?-プラスチック VS 紙-」で紹介しています。)
プラスチック資源循環促進法が私たちに与える影響
プラスチック資源循環促進法の「プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化 等」では 「廃プラスチックの効率的な回収・リサイクル」を目指しています。
新しいゴミの分別ルールを分かりやすく発信し、正しい分別方法の認識を広めることでプラスチック資源回収率を促すのが目的です。
これまでプラスチック容器包装廃棄物に該当しない廃プラスチックは、燃えるゴミとして処理されていました。 しかし、今回の法律によりこれらのプラスチック容器包装廃棄物以外の廃プラスチックも再商品化される仕組みが設定されます。
そのため、4月から皆さんが住んでいる地域でもゴミの分別ルールが改正される場合があります。
つまり、これまで可燃ゴミとして回収されていた文房具や生活用品などが資源として回収されることになる可能性があるということです。
資源として利用される可能性のあるプラスチックが有効活用されるためにも、もう一度インターネットなどを活用し地域の分別ルールを確認してみましょう!
例えば、大阪市では「ごみの分け方・出し方」の情報を発信する、スマートフォン向けごみ分別促進アプリ「さんあ~る」で情報を配信しています。「さんあ〜る」のようにゴミの分別の確認方法として、アプリを採用する自治体も増えてきています。
また、プラスチックゴミを出すときに重要なのが「油や生ゴミの汚れを洗い流す」ことです。 プラスチックをゴミに出す際に、油や生ゴミなどプラスチック以外の素材が混入しているものはリサイクルをすることが出来ません。
なのでプラスチックを分別する際には汚れを洗い流しゴミを出すようにしましょう。
日本リサイクルの実情は?
プラスチックは製造から廃棄されるまでの工程で、気候変動問題や海洋プラスチック問題の一因となっています。
日本で1年間で排出される廃プラスチック量は約850万トン。日本国民の1人当たりのプラスチック消費量はアメリカに次ぐ世界第2位と言われています。
生産されるプラスチックの中で最も多いのが容器包装で、これはプラスチック生産量全体の36%を占めています。
特に日本では衛生面の観点やおもてなしの精神から、野菜や果物、パンに至るまで、さまざまな商品がプラスチックで包装されています。 日本では一人当たり年間300〜400枚、日本全体では400億枚以上のビニール袋が消費されていると言われています。
そんな日本でのプラスチック有効利用率は意外にも高く、85%に上ると言われています。
しかし、ここでポイントとなるのがその「プラスチックのリサイクル方法」です。 プラスチックのリサイクルの仕方は大きく3つあり、「マテリアルリサイクル」、「ケミカルリサイクル」、「サーマルリサイクル」に分かれています。
マテリアルリサイクル
💡 「廃プラスチックを原料に新しい製品を作るリサイクル。鉄や木材の代替品としてベンチやフェンスから文房具や包装資材に至るまで多方面に使用されています。」
ケミカルリサイクル
💡 「廃プラスチックの成分を化学物質レベルまでに分解し化学原料として再利用するリサイクル。例えばゴミとして回収されたプラスチックはガスの状態まで分解され、化学工場で原料として利用されています。」
サーマルリサイクル
💡「廃プラスチックを焼却する際に発生する熱エネルギーを利用するリサイクル。プラスチックが焼却される際に発生する熱量は、石炭や石油の発熱量に匹敵すると言われています。」
現在日本では、廃プラスチックの22%がマテリアルリサイクル、3%がケミカルリサイクル、60%がサーマルリサイクルされています。
ここで問題なのは「サーマルリサイクルではプラスチックの焼却時に人にも環境にも影響のある有害物質や二酸化炭素を排出してしまう」点です。
このようなサーマルリサイクルの問題点から、ヨーロッパではサーマルリサイクルをリサイクル率の中には含めていません。 よって、海外から見た日本のリサイクル率は25%ほどしかないことになります。
また「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」を目指す循環型社会形成推進基本法においても、サーマルリサイクルの優先順位は低く設定されています。
環境省は循環型社会のモデルとして「天然資源の消費の抑制」を根底とし、以下の優先順位を展開してます。
- 「リデュース」廃棄物等の発生抑制
- 「リユース」廃棄物の再使用
- 「マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル」廃棄物の再生利用
- 「サーマルリサイクル」熱回収
- 「適正処分」廃棄物の埋め立てなど
このようにサーマルリサイクルは環境負荷を与えてしまう点から、なるべく1から3の方法で資源を循環させる仕組みを推進しています。
このように日本のリサイクル状況には依然課題が残っていますが、新たなプラスチック資源循環促進法ではこのような問題に対応するため、効果的・合理的で、持続可能な分別回収・リサイクルを推進しています。
私たちにできること
今年の4月から施行されるプラスチック資源循環促進法のリサイクル戦略は「分ければ資源、混ぜればごみ」の考えに基づいています。
私たち消費者は廃プラスチックの資源化のため、ゴミの分別を徹底する必要があります。 そのためには自分が住む地域の分別ルールを確認し、プラスチックごみが有効にリサイクルされるように心がけましょう!
インスタグラムストーリークイズ
- プラスチック資源循環促進法のテーマは何でしょう?(A.えらんで、減らして、リサイクル)
- 日本のプラスチック消費量は世界で何位と言われているでしょう?(A.2位)
- 3つのリサイクル方法のうち、有害物質や二酸化炭素を排出する点から環境に負荷を与えると言われているのはどれでしょう?(A.サーマルリサイクル)
1 コメント
寝屋川市で生じたマテリアルリサイクルによる住民の健康被害の記録【廃プラ・リサイクル公害tとのたたかいー大阪・寝屋川からの報告」(せせらぎ出版2021年12月)、日本科学者会議「日本の科学者」2023年2月号「特集 プラスチ㏍問題を考える」、ブログ「杉並病、寝屋川病を忘れるな」など、プラスチックが哲、アルミ、ガラス、紙のように元の材料にはPETを除き難しく、人体に有害な化学物質を発生させ、シックハウス症状類似の疾病が科学的に報告されているが、世界の人たちに知られていないことが、重大な問題です。実際に起った体験を知ろう。