私たちは1週間にクレジットカード1枚分もの プラスチックを食べてる ‐ 生物濃縮とは ‐

 私たち人間が1週間に食べているプラスチックの量は1週間でクレジットカード1枚分(約5g)、1ヶ月でレゴブロック1個分(約21g)、1年でヘルメット1個分(約248g)にもなる事を知っていましたか?

「プラスチックを食べている」と聞いていまいちピンと来ませんよね。

今回の記事では人間がプラスチックを体内に取り込んでしまっている1つの原因である「生物濃縮」について一緒に考えてみましょう。

生物濃縮とは、有害物質(工場から流れ出た薬品や化学物質など)が食物連鎖の中に組み込まれ、食物連鎖の上位へと進むにつれて、蓄積される有害物質の濃度が濃くなっていく現象です。

水銀の生物濃縮により発生した「水俣病」は多くの方が聞いたことがあるのではないでしょうか?

現在問題となっているのは、「海洋マイクロプラスチックによる生物濃縮」です。マイクロプラスチックとは、5mm以下の微小なプラスチックの破片の総称で、このマイクロプラスチックはスポンジのように海中の有害物質を表面に吸着させる特徴があります。

有害物質が付着した海洋マイクロプラスチックを、海鳥や小魚がプランクトンや餌と勘違いし食べてしまい、食物連鎖の上位にいる大きな魚や動物、そして私たち人間がそれらを食することで、プラスチック自体に含まれる有害物質+海中の有害物質をマイクロプラスチックと共に無意識に体内に摂取してしまっている可能性があります。

 

海洋マイクロプラスチックによる生物濃縮の原因として『プラスチック製品の急増』が挙げられます。

2015年までにつくられたプラスチックの総量はなんと約83億トンと言われており、年々生産量が増加しています。実際2015年度に生産されたプラスチック製品は約4億トンにもなり、大型旅客機のみの自重を約160トンと計算した場合、大型旅客機約250万機とほぼ同量の重さになります。

そして生産されたプラスチックの半分以上が埋め立てや投棄されてしまっており、それらのプラスチックが時を経てマイクロプラスチックとなり生物濃縮を引き起こしています。

周りを見渡してみるとプラスチック製品がたくさんありますよね。

その中でも特に安価で衛星的という理由から使い捨てプラスチック包装の生産が活発となり、現在ではプラスチック生産量の約36%が使い捨て容器や包装資材として使用されています。

その他にも洗顔料・日用品・衣類には実は多くのプラスチックが含まれていることをご存知でしたか?

例えば、スクラブ入りの洗顔料や歯磨き粉などの多くの製品には汚れを研磨するための1mm以下のプラスチック粒(マイクロビーズ)が入っています。これらは洗面所から下水へ行き、最終的に海へ流れ出ています。アメリカでは2017年にマイクロビーズを使った商品が製造禁止になっています。

また、衣類の多くはアクリル、ポリエステル、ナイロンなどのプラスチック繊維からできています。洗濯するたび70万本のマイクロファイバーが放出され、選択排水から海へ、衣服を着ているだけでも擦れが原因で空気中にプラスチック繊維が漂い、そのまま海や川などの自然界へ流れる原因になっているのです。

すでに海に流出したマイクロプラスチックとこれから流出する分を削減するため、私達にできるのは脱プラ生活を実践する事です。

① マイ○○を持ち歩く

マイバックやマイストロー・カトラリー・水筒などを持ち歩くことはプラスチック削減の大きな一歩となります。Q-suiやmymizuなどの給水サービスもあるので水筒に飲み物がなくなってもペットボトルを消費することなく喉を潤せます。

② プラスチック製品からサステナブル製品に代えてみる

プラスチック製ではなく自然由来の物に代えてみることも問題解決にへの一歩に。例えば、歯ブラシを竹製へ・自然由来のキッチンアイテムにしてみる等。特にプラスチック製のスポンジは、使うと摩擦でちぎれてしまい、プラスチックの繊維がさらに細かいマイクロプラスチックになり海へ流れてしまいます。1つからでも少しづつサステナブルな素材でできた物に代用してみては?

③ 映画や本などからプラスチック汚染について学ぶ

「図解でわかる14歳からのプラスチック環境問題」 太田出版

プラスチック誕生の歴史から今起こっている社会問題まで網羅的に学ぶ事ができます。専門的な内容もとても分かりやすく、図解やイラストを用いて教えてくれているのでプラスチック問題について学び始めた方にもぴったりな一冊です。

映画「Plastic ocean」

プラスチック問題の現状を映像を通して分かりやすく伝えてくれています。プラスチックが私たちの手元から離れた後をドキュメンタリー映像として知る事で、問題を自分ごととして考えるきっかけになるかもしれません。

サイト「WWF plastic diet」

簡単なアンケートであなたが1週間のうちにどのくらいのプラスチックを食べているのかを測定してくれます。その他にもプラスチックゴミ問題に対する個人でできる具体的なアクションの方法やWWFが主催する海洋汚染に関する法改正の署名にも簡単に参加する事ができます。
Web:https://yourplasticdiet.org/jp/

④ プラスチックをアップサイクルした商品を購入する

omo comogomo

湘南で集めた海洋プラスチックや廃棄されるはずだったお花を使って手作りされたアクセサリー。一つひとつのアクセサリーにストーリーがあり想いが込められています。
Web:https://omocomogomo.thebase.in/

⑤ ごみ拾い・ビーチクリーンに参加してみる

Greenbird

「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトに原宿表参道から始まった団体。主な活動はごみを拾って自分の住む街・国をもっと良くすること。興味のある方はぜひ参加してみてください♪
Web:https://www.greenbird.jp/

Uminari

海洋ごみ問題の解決を目指すNPO法人。主にビーチクリーンや、サステナブルな生活に繋がるワークショップの主催を行なっています。関東圏以外にも北海道や大分、沖縄でのイベントも豊富です。気になる方はホームページをチェックしてみてくださいね。
Web:https://uminari.org/

 

今回ご紹介した「生物濃縮」で、私たちが日常生活において知らず知らずに排出してしまっているプラスチックが地球に住む生き物全体に大きな影響を与えてしまっていること・私たちの暮らしは他の生態系・自然と密接に関わっていることがわかりました。

10%ずつでも地球に優しい選択をできるようになることが持続可能な暮らしへの第一歩となります。皆さんも自分に無理のない範囲で環境に配慮した小さなステップを歩み始め、最終的には未来を変える大きな第一歩を踏み出しましょう!

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- マハトマ・ガンジー(Mahatma Gandhi)