江戸時代とサステナブル??~昔と今の暮らし~

 

突然ですが、皆さんは江戸時代の生活についてどのくらい知っていますか?

大河ドラマや時代劇、歴史の授業を通して知っている方、あまり知らないという方もいるのではないでしょうか。

実は、江戸時代は「衣食住のあらゆる面で資源を最大限に利用した循環型社会」でした。

そこで今回は江戸時代の暮らしから、私たちが実際に日々の生活の中に取り入れられるサステナブルな暮らし術を見ていきましょう!


〜背景〜

江戸時代とは、1603年に徳川家康が「将軍」となり、江戸(現在の東京)に「幕府」と呼ばれる政権を確立してから、1868年に崩壊するまでの約260年間のことを指します。

そのため、当時の日本は自給自足のような資源を無駄にしない循環型社会に発展していきました。


〜江戸時代のサステナブル要素〜

では、実際に江戸時代の人たちが暮らしていた循環型社会とはどのようなものだったのでしょうか?
そのカギは「衣食住」にありました。

 ①衣服

着物が主流の衣服だった江戸時代。

そんな着物は「仕立て→使用→廃棄」、すべての過程においてサステイナブルな役割を果たす衣服です。

その理由として、

  1. 「仕立ての際にでる端切れが少なく、生地が無駄にならない」こと
  2. 「帯や紐で長さの調節ができるため、体型の変化に沿って長い期間着れる」こと
  3. 「古着として他の人の手にわたる」こと
  4. 「おむつや雑巾など、他の生活品にリメイクされる」こと
  5. 「廃棄の際には燃料として使用され、その後に出る灰は肥料や酒造、陶器作りなどに利用される」こと

が挙げられます。

このように1着の着物は何度も大切な資源として再利用され、多くの人の生活を支えていました。

現在日本国内では、「1人あたり年間約18枚の服を購入し約12枚の服を廃棄している」と言われています。

江戸時代に生きた人たちが、このように衣服を最初から最後まで大切な資源として再利用していたことは、今後の私達の生活に取り入れることで無駄をなくし、資源の循環に繋がります。

 

②食生活
『日ごとの心得』(国立国会図書館蔵)

江戸時代のサステナブルな食生活の様子を「菜食」「食材」「自給自足率」の3点に注目して見ましょう!

-菜食

最近皆さんもよく耳にする「ヴィーガン」や「ベジタリアン」という言葉たち。
実は昔から「菜食」という言葉で日本人にも馴染みのある食生活スタイルでした。

菜食とは「動物性食品(食肉、魚介類、鶏卵、乳製品など)を避け、野菜を中心的に食べる」ことです。

キリスト教の禁教が大原則とされた江戸時代、多くの人は仏教を信仰していていました。

その仏教の教えの一つに不殺生戒(生命の命を絶つこと)というものがあり、菜食主義を実践している人はたくさんいました。

また、徳川綱吉による肉食禁止令の影響により、当時の日本人はお肉やお魚を食べる機会を制限され、野菜中心の食生活を送っていました。

野菜中心の食事を心がけることで、牛から排出されるメタンガスによる空気汚染、家畜から出る糞などのゴミによる土壌と水の汚染を減少できることが期待されています。


-食材

また江戸時代では、食材を余すことなく使い切り食品ロスを最小限に抑える取り組みが一般的に行われていました。

食品ロスを削減する取り組みとしては主に「食材は必要な分だけ購入したり」、「余ったものなどを塩漬け等し長期的に保存する」など。

それだけでなく、江戸時代には自然環境にも配慮されている習慣がありました。

それが「家から持参した容器に豆腐を入れてもらったり」、「野菜を風呂敷を使い持ち帰ったりする」などの、包装資材を使用しない生活スタイルでした。

現在日本では1年間に約612万トンもの食材が捨てられ捨てられるプラスチックの量は1年間で約950万トンもあります。

そんな今だからこそ、江戸時代の食への向き合い方から学ばなければいけないですね。


-地産地消

江戸時代には鎖国していたこともあり、食糧自給率は100%でした。

一方で現在は、食の西洋化(安価な食材求める需要の高まり)などの理由から輸入に頼るようになりました。

実際に2019年には食糧自給率が38%(=62%は輸入)と、私たちの食べ物の大部分が輸送で運ばれてきていることがわかります。食糧自給率が低くなることで、輸送過程に発生する二酸化炭素による環境への負担など、私たちの暮らしに様々な影響を及ぼすと言われています。

地産地消、つまり自分の住んでいる地域で育てられた食材をその地域で消費することは、これらの環境問題を解決する鍵となるだけでなく地元の経済の発展や食材の新鮮さも利点として挙げられます。

 

③生活・暮らし

江戸時代では、限られた資源を有効的に活用するためゼロウェイストな工夫が徹底されていました。

例えば、「物は修理・再生しながら使い回したり」、「ゴミとして廃棄されてしまうものを燃料や肥料として使用」したりしていました。


そんな資源を無駄なく活用していた江戸時代には、リサイクルに関連するお仕事がたくさんありました。

「釜戸の灰をかき集め肥料として灰市で売る仕事(灰買い)」や「古いお椀を漆を塗り直し生き返らせる仕事(古椀買い)」、そして「壊れた傘の下取りと再生を行なう仕事(古傘買い)」などが存在しました。


傘は直せる物は修理して売り、使えなくなってしまった部分は資源として破れた油紙(雨をしのぐ部分)を魚や味噌の包装紙に、折れた柄の部分は燃料に使われていました。

他にも、限られた資源を循環させるために物や場所の貸し借りが頻繁に行われていました。

現在では、このように「個人が所有しているモノや場所を貸し借りするサービス」のことをシェアリングエコノミーと呼びますが、これは江戸時代にも存在していました。

近年話題になっている「シェアリングオフィス」や「Airbnb (エアビーアンドビー)」も、シェアリングエコノミーの例の一つです。

このようにモノや場所を他者と共有することは、製造過程や移動の際に発生するエネルギーの削減へ繋がります。

江戸時代の衣・食・住について振り返ってみると、昔の暮らしはサステナブルなポイントが溢れていることが分かりました。

昔から学びできることリスト

今日から簡単に実践できそうなことをまとめたリストを作ってみましたので、是非参考にしてみて下さい!

衣服

  • 衣服のお直しに挑戦する
  • セカンドハンドや古着屋さんを利用してみる
  • 着なくなった洋服を使いに鞄や他の生活用品にリメイク、掃除などに使ってみる

食事

  • 必要な分だけ購入する
  • 余った食べ物は保存をし、お弁当に詰めたり、リメイク料理につかってみる
  • 国内で生産された食品を意識して購入する
  • 菜食に触れてみる
  • 容器や袋を持参し、お買い物をする(量り売り・八百屋さん・お豆腐屋さんなど)
  • できる限り包装資材が使用されていない食品を選んでみる

暮らし

  • 買い物は慎重に
  • 物は直しながら大切に使う(例:金継ぎなど)
  • マイ○○を持ち歩いてみる
  • コンポストを始めてみる

 〜まとめ〜

テクノロジーが発展した現代では衣食住のあらゆる面が便利になりました。
しかし、便利になると同時に環境汚染など自然や他の生物にそのコストを払わせていることもまた事実です。

今回、江戸時代を生きた人たちが鎖国という状況下でいかに資源を循環させていたか、を見ていきました。
そこでわかったことは、彼らが実践していたことはとてもシンプルだ、ということです。

その学びたちを、今日の私たちの生活に取り入れ、サステナブルアクションの初めの一歩として参考にしてみて下さい!

量り売りのお店にいく、容器に入れてもらえるお店を探してみる事なども新しい発見ができて面白いかもしれません!


 


この記事は以下の資料を参考にしています。

https://www.buzzfeed.com/jp/mizkangroup/edo-eco
https://www.smfg.co.jp/sustainability/report/topics/detail086.html
https://www.gakken.co.jp/kagakusouken/spread/oedo/02/kaisetsu3.html
https://www.pwmi.jp/library/10.html
https://www.touken-world.jp/tips/61500/
https://mainichi.jp/maisho/articles/20210119/kei/00s/00s/012000c
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/hakusho/h20/html/j1211300.html
https://merzbow.net/cruelty-free-life/10/
https://note.com/thrival/n/n11ecfaf6570a
https://saga-museum.jp/sagajou/navi/ja/51.html
江戸時代の食事情/江戸庶民のおかず|日本食文化の醤油を知る (eonet.ne.jp)
江戸のリサイクル業:お江戸の科学 (gakken.co.jp)
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