新型コロナウイルスが伝えようとしていること

 新型コロナウイルスに関して、連日テレビから流れてくる暗いニュース。しかしこのコロナウイルスの出現を大いに喜んでいる存在がある。地球だ。人間たちが外出出来なくなり、世界中の工場、交通がストップしたことにより、大気汚染はこれまでにない速さで改善されているのだ。

 昨年秋に日本を訪問したことでも私たちに馴染みのあるローマ教皇は、このパンデミックについて、"今まで人間が地球に対してしてきた過ちに対する、自然界からの返答だ。"と述べている。

 具体的な例を挙げてみよう。

 急激な経済成長、そして世界中からの生産を引き受ける中国はその大気汚染が兼ねてから問題視されていた。新型コロナウイルスの出現により、自粛モードで迎えた春節の時期の大気中の二酸化炭素量は、昨年に比べて35パーセントも減少していた。

 ヨーロッパで初めて都市封鎖が行われたイタリア。普段は多くの観光客で賑わうベネチアからも人々の姿は消え、代わりに自然界からの訪問客が増え始めている。運河には気持ち良さそうに泳ぐ魚たちに加え、鵜やシラサギなどの鳥たちも戻ってきた。これは、水上交通量がに減っただけでなく、観光客が出すゴミがなくなったことで、水の濁りが劇的に改善されたためである。

 ニューヨークを含むアメリカ北東部では、数千万の交通が規制されたことにより、大気汚染の大きな原因となる二酸化窒素が30パーセント減少した。同様の理由で、南カリフォルニアの大気の状態も20パーセント改善された。

 人口約14億を抱えるインドでも同様の現象が起きている。国全域をロックダウンしたことにより、インド上空はこれまでにないほど晴れ渡った。一千万以上のバイクを含めた車両が通りから姿を消したことで、ニューデリーの大気汚染は10年間でもっとも改善されている。

 さらに、インド北部のバンジャブ州では、200km離れたヒマラヤ山脈が約30年ぶりにみ晴らせるようになり、住民からは感嘆の声が上がった。

 嬉しいニュースは大気汚染の改善だけではない。今ちょうど孵化の時期を迎えたウミガメたちにとっても、人々の外出禁止は喜ばしいことであったようだ。人々が消えたブラジルやインドのビーチでは、かなりの数のウミガメが無事に孵化し、その数は2016年に比べて4倍だそう。

 人間たちの動きが世界的に停止したことによって、地球があるべき姿を取り戻そうとしている事実は明らかだ。しかし、私たち人間はいつか、ウイルスの脅威に打ち勝つ日が来るだろう。

 新型コロナウイルスは大分手荒ではあったが、私たちに"人間たちが地球を汚している"という事実を再確認する機会を与えてくれた。

 

 パンデミックが収束し、世界が動き始めた時、経済回復だけに目を向けるのか、地球と共存する術を見つけ出すのか、今私たちは問われているのではないだろうか。