COP26とは?
今年10月31から11月12日 約2週間にわたり開催されていたCOP26。
皆さんはCOP26が何なのか知っていますか?
COP26 で話された内容は遠そうで実は私たちの生活を左右するような重要な内容なものばかりです。
今回はそのCOPについて簡単にまとめてみました!
読む前に今回の記事に出てくるキーワードをおさらいしましょう!
まず初めにCOP26って何?
COPとは国連気候変動枠組み条約 締約国会議(Conference Of Parties)を略したものです。今回で第26回目の開催ということから『COP 26』という名称で呼ばれています。
歴史の時間などで聞いたことのある京都議定書はなんと京都で開催された第3回目のCOP『COP3』で採択されたものって知っていましたか?京都議定書で定められた課題は温室効果ガスを2008年から2012年の約5年の間に、1990年代比で約5%削減することでした。そう考えると20年近く前から温室効果ガス・地球温暖化は世界で共通課題として捉えられていたことがわかります。
COP26で議論された内容
今年行われたCOP26はイギリス スコットランドのグラスゴーで開催され、過去最多の約120ヵ国から2万5千人あまりの首脳・科学者・環境保護活動家などが参加しました。今回開催の大きな目的は、気候変動の課題で一つである‘’脱炭素化‘’に向けての対策・方針を議論することでした。
脱炭素に向けて議会では、COP21で採択されたパリ協定の努力目標である「平均気温を2度より充分低く保ち、1.5度に抑える努力を追求する」ことへの各国の認識、それに向けた取り組みに注目が集まりました。
平均気温の上昇を2度に抑えるのと、1.5度に抑える、この0.5度の差がもたらす自然への影響は、猛暑で生活がしにくくなるだけでなく、それに伴い自然災害が増える・サンゴの死滅などここでは書ききれないほど全ての生態系に悪影響を与えてしまいます。
しかし、この平均気温の上昇を1.5度に抑えることは簡単ではありません。
今現在の取り組みでは、気温上昇の原因となる温室効果ガスの排出量が2010年に比べ13.7% 増加・2.7度気温が上昇すると言われており、1.5度に抑えることは難しい状況です。そのため世界各国が共通認識を持ち、世界各国が一丸となり2030年までに温室効果ガスの排出をほぼ現状の半分にし、2050年には実質0にする必要があるのです。
COP26 の成果文書案の一つとして開催国のイギリスは、石炭使用を『段階的に廃止』することを各国に提案をしました。EU諸国は賛同の意を示す一方、中国・インドが『廃止』することに消極的で、結果『段階的に削減』と表現が弱められた形で議論が固まりました。
そして2021年11月13日、世界で初めて石炭の削減を計画する成果文書「グラスゴー気候協定」が採択されました。主に石炭火力発電から再生可能エネルギーへの移行・先進国が気候変動の影響を受けている発展途上国に対し経済的支援を2019年度より2倍・パリ協定の努力目標でもある気温上昇を1.5度に抑えることなど脱炭素を追求すると発表しました。各国のメディアでは、先進国と途上国の間で脱炭素に向けた意見の違い・具体的な目標決定に繋がらなかったことに対して後ろ向きな意見が多くみられました。しかし、少なくともCOP26で世界の気候変動対策の意識基準がパリ協定の努力目標の『1.5度』に繰り上げられたことがわかります。
では日本はCOP26でどのような対策を発表したのでしょうか。
岸田総理は気候変動に対する目標・対策について以下の4つを宣言したと同時に2030年までの約10年が勝負の年になると強調しました。
1 2030年までに日本の温室効果ガス排出量を46%削減
国が進めている2050年カーボンニュートラルな国づくりの段階の1つとして2030年までに2013年比で46%削減を表明しました。さらに、温室効果ガス50%削減に向けて挑戦し続けていくと強調しました。具体的な対策として、今年6月に発表された地域脱炭素ロードマップがあります。今後の5年間の間にカーボンニュートラル地域づくりに必要な技術・経済的の支援などを国が積極的に行い①2030年度までに最低100カ所の「脱炭素先行地域」をつくる ②自家消費型太陽光、省エネ住宅、電気自動車などの普及対策を実行に移すなどがあります。従来の産業活動を支援をしながらカーボンニュートラルに向け大きく変化させることを示しています。
2 アジア各国に対しゼロエミッションのための支援
「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ」を通して、約一億ドル規模の水素などのゼロエミッション火力事業をアジア各国に展開することによって、アジア各国で主に使用されている化石燃料からゼロエミッション火力へのシフトに向けた取り組みを支援する
*アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブとは梶山大臣によって表明された日本がアジア各国に持続可能な社会に向けての支援を行う取り組みのことです。
3 今後5年間途上国に対して温室効果ガスや気候変動の影響を対処を支援するための適応資金として最大100億ドルを追加支援、森林保全のため約2.4億ドルの経済的支援
*多くの途上国が地球温暖化の影響を直接受けています。最大100億ドルの追加支援は、そのような国々に対し、気候変動から起こる自然災害の被害対策などに使用されます。
4 グローバルメタンプレッジへの加盟とその他気候変動への対策
温室効果ガスの1つであるメタンガス排出量削減を主に取り組む誓約です。
しかし残念なことに宣言した次の日に日本は二度目の化石賞を受賞してしまいました。この化石賞というのは地球温暖化対策に消極的な国に贈られる不名誉な賞です。
化石賞を受賞した主な原因は、石油や化石燃料の引き続き頼ろうとしている・石炭火力発電の廃止について言及しなかったことが挙げられています。
実際日本は2013年度に比べ温室効果ガスの排出量をかなり削減はしました。しかし、他国と比較してみるとまだ削減できる余地はたくさんあり、世界から化石燃料の脱依存を求められています。
これを踏まえ、日本が宣言した4つの目標・2050年までにカーボンニュートラルに向けた取り組み・対策が今後どのように反映されていくのか注目していきましょう。
References
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経済産業省. ’梶山経済産業大臣が「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を新たに表明しました’. 経済産業省. 2021‐05‐28. https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210528007/20210528007.html
経済産業省.’地域脱炭素ロードマップ【概要】国・地方脱炭素実現会議’.経済産業省.2021‐06‐09.https://www.env.go.jp/earth/②地域脱炭素ロードマップ(概要).pdf
小西 雅子.’COP26での「3つの成果」日本は今後どう生かすか。1.5度目標に強化、石炭火力削減を明記した意義’.東洋経済ONLINE.2021‐11‐30.https://toyokeizai.net/articles/-/471794?page=3
古田島大介.’地球温暖化でサンゴ礁の99%が死滅する!?私たちにできる対策とは’.HARBOR BUSINESS.2019‐07‐29.https://hbol.jp/198123/
水野倫之. ’COP26 強まる脱石炭の圧力 日本の対応は.’NHK.2021‐11‐10.https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/457034.html
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Inglis, S. ’What to know about COP26 ahead of global climate summit’2021‐10‐25.https://www.msn.com/en-us/news/world/what-to-know-about-cop26-ahead-of-global-climate-summit/ar-AAPW1K3